【相撲・ボクシング】相撲とヤクザとの関係、砂かぶり席の有名男性を協会が問題視

「大相撲とヤクザ」──長い興行の歴史の中で、両者は密接に結びついてきた。
野球賭博八百長スキャンダルが発覚するたびに、「国技」に相応しくない関係が問題視され、
相撲協会は近年、暴力団・反社会的勢力との関係廃絶のアピールに躍起となってきた。しかし、その自浄能力を疑う出来事が起きた。

今年3月に開催された大相撲春場所の会場となったエディオンアリーナ大阪
東西の“砂かぶり”と呼ばれる溜席には、揃いの茶色の陣羽織を着た観客が並ぶ。
春場所の興行を支える「東西会」の維持員席だ。そこに“ある男”の姿があったことが、協会内で大問題に発展している──。

「砂かぶりにいたのは、元プロボクサーの渡辺二郎です。
タレントの島田紳助が2011年に芸能界引退に追い込まれた際、直接の原因となったのが渡辺を通じた暴力団幹部とのメールのやり取りでした。

当時の所属事務所の社長は、会見でメールの相手であった渡辺のことを『暴力団関係者』と明言していましたが、その人物が維持員席に陣羽織を着て座っていたのだから、騒ぎになりますよ。
協会には一般観戦者からの目撃情報の提供があったといい、東西会のなかでも問題となっています」(若手親方)

土俵下で陣羽織を着て観戦する「維持員」とは、いわば協会が認めた“公式のタニマチ(支援者)”だ。
協会に所定額の寄付を行ない、承認を受けることで、場所中は「維持員席」での立ち合い(観戦)が認められる。

維持員の団体としては、開催地ごとに東京の「大相撲溜会」、福岡の「福岡溜会」などがあり、大阪では「東西会」がそれにあたる。
維持員となるための寄付(維持費)は6年分を一括で支払い、その額は「138万円以上」と定められている(東京のみ、年3場所なので414万円以上)。

「1937年に発足した東西会には維持員席が90席割り当てられているが、入会には会員2名の推薦が必要で、欠員が出ないと入れない。
関西財界では一つのステータスになっています。割り当てられるチケットは原則として本人が座るものだが、維持員の責任で自分以外の人を座らせることもできる」(協会関係者)

専用のチケットにあたる「維持員券」の裏側には、禁止事項として〈暴力団員、その他反社会勢力団体、
構成員又はその関係者の利用〉とあり、ルールに反した場合は〈退場または退会処分となる場合があります〉と明記されている。

「今回の問題が関係者の間で大騒ぎになっているのは、渡辺二郎を席に招き入れた維持員が、北の湖・元理事長(故人)の後援会を幹部として支えていた超大物維持員のA氏だからです。
東西会の最高幹部でもあり、北の湖理事長時代には協会に大きな貢献があったとして、無料での入場が認められる『木戸御免』などの特別待遇を贈られている人物。

そのA氏が渡辺二郎維持員席に座らせたということで、“今までの特別待遇を返上させられた”“協会が厳しい処分に乗り出す”といった情報が錯綜しているのです」(同前)

NHK中継に映り込む

維持員席とヤクザ」の問題に協会関係者が敏感になるのには理由がある。

2010年から2011年にかけて、角界のスキャンダルが連続して発覚した。
暴力団が胴元となる野球賭博への力士の関与、その捜査過程で明らかになった八百長問題、それらに加えて問題となったのが「暴力団維持員席での観戦」だった。

「2009年の名古屋場所で、山口組弘道会の幹部らが維持員席で観戦していたことが、2010年5月に発覚した。
NHKの中継に映り込む砂かぶりで観戦することで、服役中の幹部に元気な姿を見せることが目的だったとされている。
一般販売されない“特別席”にあたる維持員席のチケット手配に複数の親方が関与していたことも明らかになった」(ベテラン記者)

その後、他の場所でも暴力団員が維持員席で観戦していたことや、地方場所で暴力団関係者から宿舎の手配を受けていた部屋があったことなども、立て続けに発覚。

直後の2010年7月の名古屋場所ではNHKの生中継が中止となるなど、大相撲は存続の危機に追い込まれた。

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2019年6月10日 7時0分 NEWSポストセブン