【Tからdへ】ポイント勢力図に異変 Tポイント終了か

複数のチェーン店などに対応して、買い物をすればポイントが加算される共通ポイントカードの勢力図が2019年、ジワジワと変わりつつある。その主役になるのは、NTTドコモ系の「dポイント」と、ツタヤを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)系の「Tポイント」だ。

ドトールは、Tからdへ
大手カフェチェーンのドトールコーヒーは2019年6月3日から、全国で展開するドトールコーヒーショップエクセルシオールカフェなど計1100店舗超で、dポイントを使えるようにした。支払いの際にdポイントカードを提示すると、200円(税込み)ごとに1ポイントが付与される。たまったポイントは10ポイント=10円で利用できる。

ドトールは09年からTポイントを採用していたが、その扱いを終了すると19年2月に発表。ドトールプリペイドとポイントカードを一体化した独自の「ドトールバリューカード」を展開しており、「バリューカードにポイント制度を一本化する」との報道もあったが、Tポイントの使用が終了する4月19日にdポイント導入を発表した。ドトールをめぐる「T対d」という共通ポイントカード同士の激しい勢力争いをうかがわせるものだ。

もう一つの大きな動きが、コンビニ2位のファミリーマートで進んでいる。07年からTポイントを採用してきたファミリーマートでは、19年11月からdポイントと楽天系の「楽天スーパーポイント」も利用できるようになる。月々一定額以上の買い物をした顧客のポイント付与率を高める既存のプログラムはTポイントを前提としており、この仕組みにも何らかの変更がありそうだ。他のコンビニでは、ローソンが親会社の三菱商事系の共通ポイントカード「ポンタ」とdポイントの両方に対応しており、dポイントの勢力拡大が目立つ。

購買データの精度を高めるには...
ファミリーマートを巡っては、親会社である伊藤忠商事の意向が見え隠れする。2017年の朝日新聞のインタビューで、伊藤忠商事の岡藤正広社長(当時)は、Tポイントへの不満をにじませる発言をしていた。ファミリーマートは15年にTポイント運営会社の株式の一部をCCCから取得して、CCCと共同でTポイント会員の購買履歴を分析してマーケティングに役立てようとしたが、19年にはその株式をCCC側に売却し、Tポイント単独路線から転換する。Tポイントの主導権はCCCが握っているため、会員の購買履歴データ蓄積で最も貢献しているはずのファミリーマートでも自社の意向を十分反映できなかったとすれば、方針転換の要因になった可能性もあるだろう。

他方、dポイントの勢力が拡大している背景には、ドコモが通信以外の分野の収益を拡大させていくためのプラットフォームとして位置付けている事情もある。共通ポイントカードとしては後発であり、加盟店を獲得していくためにもCCCより柔軟な条件でマーケティング情報を加盟店に提供している模様だ。ドコモ契約者ならば携帯電話回線の契約とひも付いており、データの精度も高くなる。TポイントのCCCが展開するツタヤは、主力のCD・DVDレンタルがインターネット配信の定着で振るわず、運営会社の盛衰が共通ポイントカードにも反映しているようだ。

共通ポイントカードはスマートフォンを使うキャッシュレス決済と融合しながら、さらに進化を遂げつつある。自社ポイントカード「nanaco(ナナコ)」を展開するコンビニ最大手のセブン‐イレブン・ジャパンは、独自のバーコード決済「7pay(セブンペイ)」を7月1日に始める予定。同じ7月には、ファミリーマートもバーコード決済「ファミペイ」を開始して、いずれもポイントカードと連携させる仕組みだ。スマホとポイントカードを連携させると企業側が得られる購買履歴データの精度は高まるが、利用者側にはスマホを操作する面倒さもあり、どこまで定着できるかにも注目が集まる。

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