【医療】膵臓がん治験費用をクラウドファンディング 関西医科大 国の補助金申請認められず決断

膵臓がん治験費用をクラウドファンディング 関西医科大 国の補助金申請認められず決断
毎日新聞 2019年6月10日 19時19分(最終更新 6月10日 19時19分)
https://mainichi.jp/articles/20190610/k00/00m/040/205000c

 関西医科大(大阪府枚方市)は10日、膵臓(すいぞう)がんの新治療法の臨床試験(治験)を実施するため、
インターネットで寄付を募るクラウドファンディング(CF)の利用を始めたと発表した。
1000万円を目標に広く支援を求める。CFで治験の資金を調達する例は珍しい。
国の科学研究費補助金に申請しても認められず、製薬会社の支援もないため決断したという。

 膵臓がんは早期発見や治療が難しく、5年生存率は1割に満たず、他のがんに比べ極めて低い。
特に腹膜への転移は手術が難しいうえ、腹水がたまると腹部の痛みなど患者の苦しみも大きいという。

 計画する治験では、腹膜に転移した膵臓がんの治療に抗がん剤の「S―1」と「パクリタキセル」の併用が有効か調べる。
この治療法は既に胃がんで保険適用され、膵臓がんに対する第1、2相の治験でも生存期間延長や症状緩和などの効果があったという。

 第2相は2015年に終わったが、全国30施設で大規模に有効性を確かめる第3相は資金不足で実施できずにいた。
治験で有効性を確認し、国の審査を通れば、保険が適用されるようになる。

 友田幸一学長は「医療を取り巻く状況は厳しく、研究の経費は削減の方向にある。
国や企業だけに頼るのではなく、一般社会から寄付を集める手段に踏み切った」と説明している。

 CFでの募集は10日から9月8日まで。目標の1000万円に達しない場合は支援者に全額返金する。寄付は専用サイト(https://readyfor.jp/projects/suigan)から。