【韓国】 「愛と信頼の政治で全住民から大きな支持」~ソウルで金正恩氏賞賛イベント、一部国民に誤解招く恐れも[06/10]

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金正恩氏の政治は愛と信頼の政治」
北朝鮮の全ての住民から大きな支持を受けている」

 韓国の左翼系学生運動団体がソウル市内で開催した「金正恩キム・ジョンウン)の研究・発表大会」で上記のような声が相次いだ。大会の様子はネットでライブ中継され、北朝鮮金正恩・国務委員長の発言を歌詞とした歌や、金正恩氏の業績を紹介する動画なども映し出された。この大会は「韓国大学生進歩連合」と名乗る団体が8日、ソウル市中区明洞のヒャンリン教会で開催した。昨年11月に「花の波・大学生実践団」と名乗る団体を立ち上げ、金正恩氏のソウル訪問を歓迎する雰囲気を高めようとしたのもこの団体だ。

 主催者側は大会の趣旨について「北朝鮮についてよく理解すれば、統一を前倒しできる」「北朝鮮について理解するには金委員長についてよく理解しなければならない」などとホームページ上で訴えた。研究のテーマは「金委員長の大胆な政治」「金委員長の民族愛」などだ。出席者は発表当日、「全ての予想を上回る破格の歩み」「民族を一つとする同胞愛」などと題する研究成果を発表した。

 金正恩氏の政治について発表したグループは「(金正恩氏は)政権に就いてから8年で北朝鮮の全ての住民から大きな支持を受けるようになった」と評した。核ミサイルの開発やミサイル挑発も称賛した。金正恩氏は昨年行った新年の演説で「米本土全域が核の射程圏内」「私の机にも核のボタンがある」などと述べたが、これについて発表者は「世界最強の米国を相手にした大胆かつ次元の違った外交力」と称賛した。2013年に金正恩氏は北朝鮮の江原道中部戦線を視察したが、これについては「軍の統帥権者が南側(韓国)との距離がわずか350メートルの最前線を訪問した。これは世界的に見ても珍しい」と主張した。

 「金委員長の繊細さ」という主題の発表では「(金正恩氏は)愛と信頼の政治を行っている」との主張がでた。韓国における世論調査も活用された。「南北首脳会談の際に金委員長が示した謙遜な態度により、わが国民の金委員長への信頼度は77.5%を上回った」などと伝えた。

 発表の合間には金正恩氏の言行を題材とした歌の公演も行われた。例えば昨年4月に行われた第1回南北首脳会談の際、金正恩氏が「平壌冷麺を遠く板門店にまで持ってきた」と言った直後「遠いと言っては駄目だ」と語ったことを題材に「遠いと言っては駄目だ」という歌が発表された。

 審査委員長を務めたユン・ヒョンテク元民権連帯共同議長は「時代の正しい要求が込められており、金委員長の風貌もしっかりと伝えている」と評した。親北ネットメディア「自主時報」が8日に報じた。民主社会のための弁護士会(民弁)統一委員会で活動したチャン・ギョンウク弁護士などが審査委員として名を連ねていた。

 大会には主催した団体の会員や審査委員など合計70人以上が参加した。大会の様子はネットを通じてライブ中継されたが、その後は発表の様子を撮影した映像の一部だけが残され、全体の動画は削除された。

 高麗大学の南成旭(ナム・ソンウク)教授は「北朝鮮政権が住民たちに宣伝するコンテンツがそのまま韓国に伝えられたようだ」「法律に違反していないか調査を行う必要があるだろう」などと懸念を示した。北朝鮮戦略センターの姜哲煥(カン・チョルファン)代表は「金正恩氏による北朝鮮住民への抑圧的な統治や独裁については一言も語っていない」「北朝鮮で宣伝される内容とよく似ており、金正恩氏を平凡で善良な指導者として描くことで、一部の韓国国民が誤解する恐れがある」などと指摘した。

 主催した韓国大学生進歩連合は昨年3月、韓国大学生連合、大学生ノレ(歌)輩連合などの運動圏団体が共同で立ち上げた団体だ。今年1月にはこの団体の会員5人がソウル市鍾路区の米国大使館に入ろうとして警察に制止された。大会が行われたヒャンリン教会は、裁判で利敵団体との判決を受けた祖国統一汎(はん)民族連合南側本部準備委員会が1991年に結成式を行い、同時に委員長を選出した会場だ。

ソース:朝鮮日報朝鮮日報日本語版<ソウルで金正恩氏賞賛イベント、一部国民に誤解招く恐れも>
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