【陸上イージスずさん調査】グーグルアースもとに断面図作成、そのまま定規で計測 縮尺異常に気づかず

グーグルアースもとに断面図、縮尺勘違いが原因 イージス配備調査ミスで防衛省

 秋田市への陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備検討を巡る防衛省の調査報告書に誤りがあった問題で、同省の五味賢至戦略企画課長は8日、衛星写真を利用したバーチャル地球儀ソフト「グーグルアース」で作成した地形断面図の距離と標高の縮尺が異なるのに気づかなかったことが原因だったと明かした。秋田市内で報道陣に語った。

 誤っていたのは、候補地の秋田市・新屋演習場以外で調べた青森、秋田、山形県の国有地や演習場9カ所のレーダーの電波を遮蔽(しゃへい)する付近の山頂までの仰角。

 五味課長によると、グーグルアースを用いて表示された地形断面図は「標高」と「水平距離」の縮尺が異なっていたのに、そのまま定規で測って三角関数で仰角を計算し、分度器で確認した。グーグルアースの地形断面図には距離、標高とも本来の数値が目盛りで表示されるが「間違いを認識せずに使っていた」という。

 今回用いられた地形断面図は、水平距離より標高の方の縮尺が大きかった。その結果、仰角はいずれも実際より大きくなり、秋田県男鹿市の国有地では仰角約4度のところを約15度と算出した。

 五味課長は実地調査をしなかったことについて「地図データがあれば調べられる」とし、今回のミスに関しては「チェック態勢がしっかりしていなかった」と説明した。

 報道陣への説明に先立ち、防衛省秋田市内で住民説明会を開催。新屋演習場が適地だとした報告書のデータに誤りがあったことについて、出席者からは「信用できない」「新屋配備を考え直すべきだ」などの厳しい批判が噴出した。【川口峻】

毎日新聞
2019年6月9日 00時41分
https://mainichi.jp/articles/20190609/k00/00m/010/007000c