【陸上】サニブラウン 家庭教師で宿題こなす 文武両道快挙 スポーツマネジメント学ぶ

世界が認める大器が日本の100メートルの歴史を鮮やかに塗り替えた。米フロリダ大のサニブラウン・ハキームが7日(日本時間8日)、全米大学選手権決勝で9秒97の日本新記録をマークした。20歳の大学生はスポーツマネジメントに興味を持ち米国へ留学。学問と競技を両立しながら、快記録をたたき出した。

 レース直後、サニブラウンは米国での競技生活を、こう語った。「コーチはしっかり話を聞いてくれるし、英語とか言葉のバリアーはないと思う。この環境は日本では体験できない。こういうところでチャレンジしてくる人が増えたらいい」

 2017年春に東京・城西高を卒業し、同年秋からフロリダ大へ。海外の大会への参加手続きで苦労した経験を教訓に、引退後の選択肢として代理人に興味を持ち、国際的な視野でスポーツマネジメントを学びたかったという。

 陸上で全米トップレベルのフロリダ大はサポートスタッフや分析機器が充実し、高いレベルで刺激を受ける。文武両面で最も良い環境で学べるように、日本では塾に通って英語力を磨いてきた。

 米国の大学には、トップ選手であっても「学生は学業を本分とすべきだ」という考え方が根付いている。学業をおろそかにしては大会に出場できない。サニブラウンも入学当初は「家庭教師のような制度があり、大学のスポーツ選手用の勉強の建物もある。帰ってから宿題も多い」などとこぼしていた。

 しかし、最近は自身のツイッターで英語を使うなど、現地の生活にも慣れてきたようだ。この日の400メートルリレーの表彰式では、チームメートと笑顔で表彰台に上り、大学のマスコットであるワニが口を開ける姿のポーズも取った。取材中には大学のチームメートで男子ハンマー投げのマクファーランドが飛び入り。がっちりと肩を組みながら「彼は素晴らしいゲーターズだ(フロリダ大のチーム名はゲーターズ)」とたたえられるなど、すっかりチームにも溶け込んでいる。

 桐生祥秀(よしひで)(日本生命)が17年に日本選手初の9秒台となる9秒98を出した時、サニブラウンは「寝ている間に出していた」と平然と話した。海の向こうで文武両道を貫きながら己を磨き、来年の東京五輪で再び、新たな歴史を刻む。【オースティン隅俊之、新井隆一】

6/8(土) 19:11配信 毎日新聞
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