【医学/工学】「蚊専用のギロチン」が、マラリアワクチンの開発に大きな飛躍をもたらす

「蚊専用のギロチン」が、マラリアワクチンの開発に大きな飛躍をもたらす

https://wired.jp/2019/05/30/tiny-guillotine-decapitates-mosquitoes-to-fight-malaria/
2019.05.30 THU 08:00
著作:WIRED

 画像:蚊専用ギロチンの設計図。右上から時計回りに、刃、整列ガイド、首切りスイッチ、スロット、蚊をのせる台、整列用ペグとなっている。
 https://wired.jp/wp-content/uploads/2019/05/Figure-3-e1557823269950.jpg

 成人のマラリア感染リスクを防ぐ効果があるとして期待がかかるワクチンの開発を飛躍的に前進させるべく、「蚊専用のギロチン」が開発された。いったいどんなもので、なぜ必要なのか?
 ギロチンという装置が誕生した背景には、こんな考えが存在している。処刑を実行するのであれば、効率的かつ(18世紀の基準で)人道的なほうがいい、というものだ。
 それと同じことが、蚊に対して行われようとしている。その目的は、2016年に44万人の命を奪ったマラリアのワクチンを開発することだ。

 人の手で行われている蚊の断頭作業

 大量生産可能なワクチンを開発するために、バイオテクノロジー企業のサナリア(Sanaria)は、蚊1匹1匹の頭を切り落として唾液腺を取り出している。
 蚊の唾液腺には、マラリアの原因となる寄生生物がいるのだ。そしてその断頭作業は、なんと人の手で行われているという。

 このつらい作業をスピードアップさせるため、同社はジョンズ・ホプキンズ大学の医療ロボット工学者たちと協力し、蚊専用のギロチンを考案した。
 この機械を使えば、一度に30匹の蚊の首をはねられるという。

 これは「完全自動のロボットギロチン」という最終目標への第一歩だ。ロボットギロチンが実現すれば、効果的なマラリアワクチンの大量生産という難しい目標を達成する一助になるだろう。

 マラリアワクチン開発を阻むふたつの壁

 何十年という研究期間にもかかわらず、マラリアワクチンはいまだに広く利用可能なものにはなっていない。

 第1の理由は、マラリアを引き起こす微生物である熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)のライフサイクルが複雑だからだ。
 比較的シンプルなライフサイクルをもつ細菌やウイルスとは違い、この寄生原虫は蚊の体内でもヒトの体内でも発育する。

 特に難しい課題は、特定の細胞型の中にいるその寄生生物を、ほかの細胞型に侵入する前に、例えば肝臓から赤血球に侵入する前に標的にすることだ。
 というのも、一つひとつのステージがとても短いからである。

 「幅広く使えるマラリア原虫に対するワクチンはまだありません」と、NPO法人PATHのマラリア・ワクチン・イニシアチヴのディレクター、アシュリー・バーケットは言う。
 「マラリア原虫は非常に複雑なのです」。なお、バーケットはこの研究にはかかわっていない。

 第2の理由は、そもそもワクチンは「人体に元来備わっている免疫システムに対して、侵入者と戦うよう促す」ものだからだ。
 例えばインフルエンザのワクチンの場合、不活性化したウイルスを注射して体をだまし、抗体の生産を大幅に増加させる。この抗体が外界に存在する本物のインフルエンザウイルスから守ってくれる。

 だが、マラリア原虫から体を守るには、細菌やウイルスのワクチンよりずっと高度な免疫反応が必要であることが、これまでの研究からわかっている。

 「場合によっては、はるかに強い免疫反応が必要なのです」と、バーケットは言う。
 さらに、防御反応はたった6カ月で消えてしまうかもしれない。
 「より効果的なマラリアワクチンを開発するには、どうしたら何年にもわたって高度な防御を提供できる免疫システムを誘導できるかを理解しなければなりません。それが大きな課題のひとつです」

■■以下略、続きはソースをご覧ください。

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