【医療】身近な薬剤で劇的効果が!がん放射線の新治療法コータックとは 1回わずか500円で放射線治療の効き目を3倍に

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 「卵巣がんを発症し、転移と再発を繰り返してきた私は、’15年2月に鼠径部のリンパ節にがんが見つかり『ステージ4=末期がん』と診断されました。
放射線治療をしたものの腫瘍が残ってしまい、名古屋市立大学病院に転院。そこで『コータック』をしてもらった後、2度目の放射線治療をしたら、
3カ月の治療でなんと3センチ以上だったがんが小さくなり、『眠っている状態』になったんです。以来2年半再発はなく、’18年には結婚もできました!」
こう話すのは、名古屋市在住のAさん(55歳・主婦)だ。
ステージ4で末期がんというと、余命宣告されることもある深刻な事態だがAさんは、みごと生還。結婚という新生活に踏み出すこともできた。

その奇跡を実現した「コータック」という治療法を開発したのは、高知大学名誉教授で、高知総合リハビリテーション病院院長小川恭弘医師。
放射線科医で、日本における乳がんの乳房温存療法の第一人者でもある小川医師は次のように話す。

放射線治療の効き目を高める療法の研究を続けるうちに発明した方法を、増感放射線療法『コータック』と名付けました。
数千万円もする効果ながん治療薬があるなか、1回わずか500円です。コータックは消毒液でもあるオキシドールと、健康食品や美容液にも使われる
ヒアルロン酸をがんに注入するだけで、ほとんど副作用なく、がん細胞だけを弱らせる画期的な治療法なんです」

訥々とした口調で目を輝かせて情熱的に語る小川医師は、自分が20年近く心血を注いできた研究のすべてを
『免疫療法を超えるがん治療革命』(光文社)という1冊の本にまとめた。

「’06年にコータックを開発して以来、この治療法を行った症例は、全国各地で個々に手掛けている医師と私の担当分の合計で1,000例を超えています。
直径15センチの乳がんを消失させた例や、末期の直腸がんを治した例もある。しかしいま現在、日本では保険適用がされていないので、
全国に広く普及しているとは言えないのが現状です。私は一刻も早く、より多くのがんに苦しんでいる患者さん、ご家族を救いたい。
そのためにこの治療法を広めたいんです」

オキシドールヒアルロン酸がなぜ、がんを消すのだろうか?
「がんが大きくなると、細胞中の酸素が減り、抗酸化酵素が増えて、放射線の効き目が3分の1に低下します。
その抗酸化酵素オキシドールが失活させられることを発見した私は、注射時にオキシドールが体内に入るときの痛みを半減させるために
ヒアルロン酸を混ぜました。つまり『オキシドールヒアルロン酸』が放射線治療増感剤になり、効き目を3倍に飛躍させるんです」(小川医師)

新しい薬を国が許可し、保険診療が実現するためには、何年にもわたって臨床治験を積み重ねて、安全性などを証明する必要がある。
前出の主婦・Aさんを治療した名古屋市立大学病院医学研究科の芝本雄太教授は、コータックの早期認可を希望する医師の1人だ。

「コータックは現在までの本学の臨床試験で問題はなく、安全性は保たれていますが、保険適用されていません。
そのため高額な薬や治療を選択せざるをえない人が多いんです。公的保険で負担する分が膨れ上がると
日本の国民皆保険制度が崩壊すると危惧されています。コータックはその救世主となりうる療法なんです」

芝本医師のいる名古屋市立大学をはじめ、コータックが受けられる医療機関は、札幌禎心会病院(北海道)、会津中央病院(福島県)、
東京放射線クリニック(東京都)、相模原協同病院(神奈川県)、大船中央病院(神奈川県)、大阪医科大学附属病院(大阪府)、
長崎県島原病院(長崎県)と全国にある。
’18年施行の臨床研究法により各医療機関で対応が変わる可能性があるため、個別に問い合わせが必要になる。

一刻も早い保険適用が期待されるコータックだが、開発者の小川医師は、最後に力強く宣言する。
「日本では、コータックが安すぎて製薬会社にメリットがないため、なかなか臨床治験ができませんでした。
先にイギリスのロイヤル・マーズデン病院で、’17年から臨床治験が始まっていて、本年中にフェーズ2に入る予定です。
そして3年後の’22年には、日本で新薬コータックとして認可されると予測しています。
苦しむ患者さんや家族を減らすのが、私とコータックに課せられた使命ですから、全国の病院でコータックが受けられる体制を作りたいと考えています」